オフィス内の電気コンセントは主に壁と床下のOAフロアに設置されます。
適切にコンセントを配線することは、ブレーカーを落とさずに安全に電気を利用するために必要不可欠なことです。位置に偏りが生じたり、使用電力量の多い機器がたくさんある個所に電源が不足していたりしている状態は業務効率上だけでなく、安全面を考えても望ましくありません。
今回は電気工事の電源コンセントの配線について案内します。
▶目次
コンセントの増設工事の詳細について案内します。
フロアに設置されている分電盤には、1つの経路ごとにスイッチが付いておりそれぞれ決まった電力容量があります。
日本のオフィスでは、100ボルト、20アンペアのものが一般的です。したがって、1つの経路につき同時に使用できる電力量としては、100ボルト×20アンペア=2000ワットとなりますが、実際に使用できる電力量はこれに力率をかけたものになります。
力率は条件によって変動しますので正確に算出することはできませんが、目安としては70%~80%で見ておくべきです。
従って、100ボルト、20アンペアの電気経路1つにつき、1400~1600ワットが目安としての利用可能電力量となります。
オフィスで利用する機器の使用電力量の目安は以下の通りです。
デスクトップパソコン | 100~300ワット |
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ノートパソコン | 50~100ワット |
複合機(レーザープリンター) | 1100~1300ワット |
シュレッダー | 300~500ワット |
プロジェクター | 80~400ワット |
電子レンジ | 900~1300ワット |
電気ポット | 800~1200ワット |
オフィスの機器や家電製品は日々進化をしていますので、省エネ、節電対策は進んでいますが、複合機や電気ポットなどは想像以上に使用電力量が多いと思われたのではないでしょうか?
これらの数値は、最大出力時のものですが、瞬間的に電力容量をオーバーするとブレーカーは落ちてしまうため、コンセントを利用する際には経路を意識して、電力量の多い機器が重複したり、一つの経路からたくさんの機器の電力を取りすぎたりしないように工夫しなければなりません。
状況次第では、電気工事によって経路を増やしたり、経路を変更したりする必要が生じます。
コンセント配線の際の注意事項について説明します。
コンセントの配線をするうえで重要なことは、電力の供給元に偏りを生じさせないことと、機器とコンセントの位置が離れすぎないことです。
もちろん、現状のオフィスのレイアウトに合った位置に電源を供給することは非常に重要ですが、同時に将来のレイアウト変更や業務拡大・拡張にも対応できるように備えておかなければなりません。
そのためには、オフィスのフロア内をまんべんなくカバーできるようにしておくことが無難です。
コンセントの可動性を高めるためには、OAタップを活用しましょう。OAタップとは、OAフロアに接続する床下専用の電源コードのことです。
調理家電を設置する給湯室や、複合機を設置する箇所にはあらかじめ電源を多めに確保しておきましょう。
オフィスのレイアウトを変更することはたびたびあるかもしれませんが、給湯室や複合機のような大型の機器はめったに移動することもないかと思いますので、専属に近い形で経路を用意したいものです。
オフィスのコンセントは、すべて同じ外観をしているので、経路を把握しておかなければどのコンセントがどの経路になっているのかがわかりません。一つの経路から延長して複数のコンセントを設置する場合もあるので経路を常に把握しておくことは重要です。特に、電気工事で配線を変更したり増設したりした場合には、最新の情報を残しておくことが重要です。
担当者以外のスタッフがいつでも確認できるように、最新の経路図を用意しておくのがベストです。
この記事では、分電盤の電力量と、電力を適切に使用するための配線の重要性について案内しました。
配線はオフィスのどの位置からでも取れるようにまんべんなくいきわたらせることと、電力使用量の多い機器の分はしっかりと確保しておくことが重要です。また、配線工事をしてしまえば終わりということではなく、将来的なオフィスのレイアウト変更や新たな機器の利用に備えて、常に電気の経路が確認できるようにしておきましょう。